
オフィシャルブログ
日本統合医学協会ではこれまで、食事、運動、睡眠、アロマ、メンタルケアなど、さまざまな角度から日々の健康について情報を発信してきました。
どれも健康を考えるうえで大切なテーマです。
一方で、それぞれについて考えていくと、ひとつのことが見えてきます。
それは、私たちの心と体、そして毎日の暮らしは、それぞれを切り離して考えられるものではないということです。
よく眠れなかった翌日は、身体が重く感じる。
忙しい日が続くと食事がおろそかになる。
身体を動かした日は気分がすっきりする。
好きな香りに触れることで、気持ちが切り替わることもあります。
睡眠、食事、運動、心の状態、そして私たちが毎日を過ごしている環境。
これらは互いに関わりながら、私たちの健康を形づくっています。
では、一つひとつの健康法を取り入れるだけではなく、いったん日常そのものから少し距離を置き、自分の心と体、そして暮らしをまとめて見つめ直す時間があってもいいのではないでしょうか。
そんな視点から、日本統合医学協会がこれから注目していきたいのが、
「リトリート」
という考え方です。
自然豊かな場所へ旅行することだけがリトリートではありません。
遠くへ行かなくてもいい。
何日も休まなくてもいい。
日常の中のわずかな時間から、自然の中で過ごす数日間まで。
今回は、統合医学という視点から「日常から離れる時間」と健康について考えてみます。
「retreat」には、「退く」「離れる」といった意味があります。
現在では、日常生活から一時的に離れ、普段とは違う環境の中で自分自身と向き合ったり、心身を休めたりする時間や過ごし方を指して「リトリート」という言葉が使われています。
自然の中で過ごす。
ヨガや瞑想をする。
身体を動かす。
その土地の食事を味わう。
温泉につかる。
何もしない時間をつくる。
その過ごし方はさまざまです。
しかし、日本統合医学協会がリトリートに注目している理由は、「新しい旅行スタイルだから」ということだけではありません。
私たちが大切だと考えているのは、
健康を考えるとき、日々の生活環境そのものにも目を向けてみる
という視点です。
休日に家でゆっくり過ごしていても、気づけばスマートフォンを手にしている。
SNSを見たり、ニュースを読んだり、仕事のメールを確認したり。
身体は休んでいるつもりでも、普段と同じようにさまざまな情報に触れ続けていることがあります。
もちろん、スマートフォンやSNSが悪いわけではありません。
ただ、「仕事をしていない」「身体を動かしていない」ということと、普段の生活から意識が離れていることは、必ずしも同じではありません。
そこでリトリートという考え方のポイントになるのが、
「何をするか」だけではなく、「何から少し離れるか」
という視点です。
仕事から離れる。
スマートフォンから離れる。
時間に追われることから離れる。
いつもの役割から少し離れる。
そうして生まれた余白の中で、自分の身体の感覚や気持ち、食事、睡眠など、普段は見過ごしているものに意識を向けてみる。
リトリートには、そんな時間の使い方があります。
リトリートというと、森や海、山など、自然豊かな場所がよく登場します。
自然環境と心身の状態については国内外で研究が行われており、自然に触れることとストレスや気分、生理的な反応などとの関連も報告されています。
だからといって、「自然の中に行けば健康になる」「数日間リトリートをすれば心身がリセットされる」と単純に考えることはできません。
人によって心地よい環境は違いますし、生活状況や体調も違います。
また、予定をぎっしり詰め込んでしまえば、せっかく日常から離れても、別の忙しさをつくってしまうかもしれません。
大切なのは、リトリートという特別な行為をすることではなく、
普段とは少し違う環境や時間の中で、自分の状態に気づくこと。
そこにリトリートの大きな意味があるのではないでしょうか。
日本統合医学協会では、健康をひとつの方法だけで考えません。
睡眠だけを整えればいい。
食事だけ気をつければいい。
運動だけすればいい。
心だけケアすればいい。
実際の暮らしでは、そう簡単に切り分けることはできません。
眠れない背景に仕事のストレスがあるかもしれません。
忙しさによって食事の時間が乱れているかもしれません。
身体を動かすことで気分が変わり、その日の眠りにつながることもあります。
香りを楽しむ数分間が、仕事とプライベートを切り替えるきっかけになる人もいるでしょう。
だからこそ、私たちはリトリートも「○○をすれば健康になる」というひとつの健康法として捉えるのではなく、自分の生活を少し離れたところから見つめる機会として考えています。
食べること。
眠ること。
動くこと。
感じること。
人とつながること。
そして、休むこと。
普段は別々に考えているこれらを、自分自身の「暮らし」という単位でもう一度見つめてみる。
これは、さまざまな角度から心身の健康を考える統合医学とも、親和性の高い考え方だと私たちは考えています。
とはいえ、リトリートのために何日も休暇を取り、遠くへ出かけることができる人ばかりではありません。
そこで日本統合医学協会では、もっと身近なところから始める「マイクロリトリート」という考え方も提案していきたいと思います。
たとえば、一日のうち15分。
スマートフォンを置いて近所を歩いてみる。
朝、窓を開けてお茶をゆっくり飲む。
好きな香りを楽しみながら、自分の呼吸に意識を向ける。
公園のベンチに座り、イヤホンを外して周囲の音を聞いてみる。
軽く身体を動かし、身体の感覚を確かめてみる。
何をするかに決まりはありません。
そして、「15分で疲労が回復する」「健康になる」という意味でもありません。
大切なのは、
いつもの生活から意識的に少し離れる時間を、自分でつくること。
リトリートを特別なイベントだけにせず、日々の暮らしにも小さく取り入れる。
それなら、今日からでも始められます。
日常の中に小さなリトリートをつくる一方で、ときには環境そのものを変えてみることもできます。
半日、一日、あるいは数日間。
自然の中で過ごしたり、その土地の食事を味わったり、身体を動かしたり、ゆっくり眠ったりする。
日常生活ではなかなかつくれない時間や環境に身を置くことも、リトリートのひとつの形です。
ここで私たちが大切にしたいのは、
日常と非日常を切り離さないこと。
旅先で「よく眠れた」と感じたなら、なぜ普段より眠れたのだろう。
自然の中を歩いて気持ちがよかったなら、普段の生活にも少し歩く時間をつくれないだろうか。
スマートフォンを見ない時間が心地よかったなら、家でも一日のどこかで同じ時間をつくれないだろうか。
食事をゆっくり味わえたなら、普段はどれほど急いで食べていたのだろう。
リトリートで得た体験を、その場所だけで終わらせない。
そこで感じた小さな変化や気づきを、日常へ持ち帰る。
そこまで含めて、リトリートを健康づくりに生かすことができるのではないでしょうか。
健康というと、私たちはつい「何かを足す」ことを考えます。
運動を始める。
健康によいものを食べる。
新しいセルフケアを取り入れる。
もちろん、それも大切です。
しかし、ときには何かを増やす前に、
「いったん離れてみる」
という選択肢があってもいいのかもしれません。
遠くへ行かなくてもいい。
長い休みを取らなくてもいい。
まずは一日の中に15分、自分のための余白をつくってみる。
そして、ときには場所そのものを変えて、半日、一日、数日と、いつもの生活から離れてみる。
日本統合医学協会では、リトリートを単なる旅行や一時的なリラクゼーションではなく、自分の心と体、そして普段の暮らしを見つめ直すための時間として捉えています。
そして、もうひとつ大切にしたいことがあります。
リトリートに行った日だけ健康になることが目的ではない、ということです。
そこで気づいた、
「よく眠れた」
「身体を動かすと気持ちがいい」
「何もしない時間が心地よかった」
「ゆっくり食べると、いつもと感じ方が違った」
そんな小さな感覚を、帰った後の暮らしにひとつでも持ち帰る。
非日常で終わらせず、日常につなげる。
日常の15分から、旅先で過ごす数日間まで。
それが、日本統合医学協会がこれから提案していきたい「リトリート」のかたちです。
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協会について
日本統合医学協会は、東京と大阪に拠点を持ち、日本における健全な統合医学の普及と発展を目的として、平成12年に設立されました。メディカルアロマ、メディカルハーブ、またメディカルヨガやメディカルピラティスといった幅広い分野で技能研修や資格・検定の認定制度確立。統合医学の正しい知識の普及と技能向上に努めています。長年の実績と信頼ある当協会の資格は、医療・福祉の現場をはじめ、自宅サロン開業など転職・就職・開業にも役立てることが可能。統合医学の現場で働く皆様の活躍を後押しします。また、プロの育成だけでなく、セルフメディケーションとしてのメディカルアロマやメディカルヨガの普及にも注力し、誰もが「センテナリアン」を実現できる社会を目指し活動しています。