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ストレスで眠れない人へ ― 科学と自然療法で考える「ストレス不眠」の正しい改善法

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はじめに:眠れない夜が続くのは、心のSOSかもしれません

「頭が冴えて眠れない」「寝てもすぐに目が覚める」「翌朝も疲れが取れない」――
現代社会では、こうしたストレスによる不眠を訴える人が急増しています。

厚生労働省の調査によると、日本人の約5人に1人が「睡眠に満足していない」と回答しており、その多くは仕事や人間関係などのストレスが原因とされています。

ストレスは一時的な精神的負担にとどまらず、体のリズムやホルモン分泌、自律神経の働きに影響を与え、眠れない状態を慢性化させてしまうのです。

この記事では、医療と自然療法の両面から、「ストレスで眠れない」原因と具体的な対策を詳しく解説します。

ストレスで眠れない理由 ― 自律神経とホルモンの関係

自律神経が"オン"のままでは眠れない

私たちの体は、自律神経によって「昼の活動モード(交感神経)」と「夜の休息モード(副交感神経)」を切り替えています。
ところが、ストレスを感じると交感神経が過剰に働き、体は常に戦う体勢のまま。

本来リラックスすべき夜になっても、心拍数や血圧が下がらず、脳が休まらないのです。
結果として、「寝つけない」「浅い眠りになる」「早朝に目が覚める」といった不眠症状が現れます。

コルチゾールが「眠りのスイッチ」を壊す

ストレス時に分泌されるホルモン「コルチゾール」は、朝の目覚めを助ける働きがあります。
しかし、ストレスが慢性化すると夜になっても分泌が高止まりし、脳が「まだ昼だ」と錯覚してしまうのです。

こうして本来夜間に優位になるはずの副交感神経が働かず、眠りのスイッチが押せない状態に陥ります。

ストレス性不眠に見られる4つのタイプ

  1. 入眠困難型:布団に入っても30分以上眠れない
  2. 中途覚醒型:夜中に何度も目が覚める
  3. 早朝覚醒型:予定より早く目が覚め、その後眠れない
  4. 熟眠障害型:長く寝ても疲れが取れない

これらは一過性ではなく、1か月以上続く場合は「ストレス性不眠」の可能性があります。
「仕事のことを考えて眠れない」「心配事が頭を離れない」といった状態が続くと、脳が休むことを忘れてしまうのです。

放置は危険 ― 不眠が心身に与える影響

メンタル面への影響

睡眠不足は、感情をコントロールする脳の「前頭前野」の働きを低下させます。
その結果、怒りや不安を抑えにくくなり、うつ病・不安障害・適応障害などのリスクを高めます。

実際、アメリカの疫学調査では、不眠を抱える人はうつ病を発症するリスクが40倍に上がると報告されています。

身体への影響

ストレス性不眠が続くと、次のような変化が現れます。

  • 免疫力低下による感染症リスクの上昇
  • 自律神経の乱れによる動悸・冷え・頭痛
  • 食欲とホルモンの乱れによる体重増加
  • 血糖値・血圧上昇による生活習慣病リスク

つまり、「眠れない」という状態は、心身両面の健康をむしばむサインなのです。

今日から始める!ストレスによる不眠の改善法

① 夜のスマホを手放す

スマートフォンのブルーライトはメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌を抑えます。
寝る1時間前からスマホ・PCをオフにし、間接照明で穏やかな空間をつくることが大切です。

② 寝る90分前の"ぬるめ入浴"

40℃前後の湯に15分浸かると深部体温が上がり、その後の自然な体温低下が眠気を誘います。
アロマオイルを12滴垂らすと、よりリラックス効果が高まります。

③ 自律神経を整える呼吸法

ストレスを感じたときに役立つのが「4-7-8呼吸法」。
4
秒吸って、7秒止め、8秒で吐く。
このリズムを数回繰り返すと副交感神経が優位になり、心拍が穏やかになります。

④ 快眠を導くアロマセラピー

香りは脳の「扁桃体(感情中枢)」に直接働きかけ、緊張を和らげます。
とくに次の香りは、睡眠科学の分野でも研究報告が多くあります。

香り

主な作用

ラベンダー

自律神経を整え、心拍数・血圧を下げる

スイートオレンジ

不安を和らげ、前向きな気分に

ゼラニウム

ホルモンバランスを調整し、女性の不調にも効果的

寝室のディフューザーや枕元のティッシュに数滴垂らすだけでもOK
人工香料ではなく、天然精油(エッセンシャルオイル)を選びましょう。

⑤ 頭を"空っぽ"にするマインドフルネス

「眠らなきゃ」と焦るほど、脳は覚醒します。
そんなときは呼吸や体の感覚に意識を向けるマインドフルネス瞑想が効果的。
思考を今この瞬間に戻すことで、心のノイズが鎮まりやすくなります。

それでも眠れないときは医療機関へ

1か月以上「眠れない」「疲れが取れない」が続く場合は、不眠症やうつ病、自律神経失調症の可能性もあります。
最近は薬に頼らず、認知行動療法(CBT-I)やカウンセリングによって改善するケースも増えています。

「我慢すれば治る」と思わず、早めに専門医に相談しましょう。

統合医療的アプローチ ― 科学と自然のバランスを

日本統合医学協会では、「医療×自然療法」の両面から健康を支える統合的アプローチを推進しています。

ストレス不眠は、単なる「気の持ちよう」ではありません。
脳・神経・ホルモンのすべてが関わる、全身のサインです。
だからこそ、生活習慣+心のケア+自然療法の三本柱でアプローチすることが重要です。

まとめ:眠れない夜こそ、自分をいたわるチャンス

  • ストレスは自律神経とホルモンを乱し、眠れない夜を招く
  • 不眠が続くと、心身の健康リスクが高まる
  • 生活リズムの見直し・呼吸法・アロマ・瞑想が改善の鍵
  • 1か月以上続く場合は医療機関に相談を

眠れない夜は、心と体が「立ち止まって」と訴えている証拠です。
無理をせず、自分のリズムを取り戻す時間を作ってください。

やがて、静かな夜に自然な眠りが戻ってくるはずです。

参考文献・出典

  • 厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
  • 経済協力開発機構(OECD)「Time spent sleeping」(2021
  • 国立精神・神経医療研究センター こころの情報サイト「不眠症(睡眠障害)」
  • 日本睡眠学会「睡眠と健康 Q&A
  • 世界保健機関(WHO"Promoting mental health: Concepts, emerging evidence, practice."
  • 日本統合医学協会『睡眠アドバイザー講座テキスト』(2024

関連講座

睡眠アドバイザー講座| 日本統合医学協会 資格

 

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