オフィシャルブログ
妊娠・出産は女性の体に大きな変化をもたらします。
骨盤の開き、ホルモンバランスの変動、筋力や体力の低下、そして育児によるストレス。
これらを無理に放置してしまうと、腰痛や尿漏れ、慢性的な疲労、メンタル不調につながることも少なくありません。
こうした産後の課題に対し、医学的な観点から推奨されている運動のひとつが「ピラティス」です。
近年は理学療法士や医師が関わるリハビリの一環として導入されるケースも増えており、その有効性は複数の研究でも裏づけられています。
本記事では、産後ピラティスの効果をエビデンスとともに深掘りし、実践的なエクササイズや注意点まで解説します。
出産後に多くの女性が経験する症状のひとつが、尿漏れや骨盤の不安定さです。
これは、骨盤底筋群や腹横筋といった体幹の深層筋がダメージを受けているためです。
2018年に発表されたシステマティックレビューでは、産後女性に対する骨盤底筋群エクササイズが尿失禁改善に有効であることが報告されています(Dumoulin et al., Cochrane Database Syst Rev. 2018)。
ピラティスは骨盤底筋群と腹横筋を同時に活性化する動きを多く含むため、この研究結果とも合致します。
妊娠中から産後にかけては、反り腰や猫背など姿勢の乱れが生じやすく、それが腰痛や肩こりの原因となります。
2021年の研究では、産後女性にピラティスを8週間実施したところ、姿勢の改善と腰痛の軽減が確認されたと報告されています(González-Gálvez et al., J Bodyw Mov Ther. 2021)。
このことからも、産後ピラティスは日常生活を快適に送るための身体づくりに有効だといえます。
産後うつや不安感は、多くのママが直面する課題です。
ピラティスは呼吸法を重視するため、自律神経のバランスを整え、リラックス効果が期待できます。
2020年のランダム化比較試験では、産後の女性にピラティスを導入することで不安・抑うつスコアが有意に低下したことが示されています(Kim et al., J Clin Med. 2020)。
つまりピラティスは身体的な回復だけでなく、心のケアにもつながるのです。
産後の身体は過度な負荷に弱いため、ハードな運動は推奨されません。
ピラティスは小さな動きを積み重ねるため、低負荷かつ継続しやすいのが特徴です。
医療現場でもリハビリプログラムとして取り入れられていることから、安全性の高さも裏づけられています。
仰向けで膝を立て、吸うときにお腹を広げ、吐くと同時に骨盤底筋を「下から引き上げる」意識を持ちます。
継続することで尿漏れや骨盤の不安定感を改善します。
骨盤を前後にゆっくり倒す運動。
腰椎や骨盤周囲の筋肉をほぐしつつ、安定性を高めます。
腰痛予防にも有効です。
横向きで脚を持ち上げ、骨盤を安定させながら中殿筋を強化。
骨盤の左右バランスを整え、下半身のむくみ予防にも役立ちます。
四つん這いで背中を丸めたり反らしたりする運動。
背骨の柔軟性を取り戻し、血流改善や肩こり解消に効果的です。
仰向けでお尻を持ち上げ、体幹から下肢の筋肉を同時に鍛えます。
基礎代謝向上や腰痛改善に有効。
背骨をひとつずつ丸めるように前屈。
体幹の安定性を高め、育児で凝りやすい背中をリセットできます。
一般的に産後6〜8週以降が目安ですが、帝王切開や出産時の合併症がある場合は必ず医師に確認しましょう。
最初は1日10分程度から。
焦って強度を上げると回復が遅れる場合があります。
ベビーピラティスや、抱っこしながら行える動きを取り入れると継続しやすくなります。
「産後ピラティス」や「メディカルピラティス」に精通した指導者のサポートが、安全で効果的なトレーニングに欠かせません。
産後の女性は、骨盤や体幹の不安定さ、体力の低下、メンタル不調など多面的な課題に直面します。
ピラティスはこれらに包括的にアプローチできる運動であり、エビデンスに基づいて効果が確認されている点でも安心感が高いといえるでしょう。
こうした研究結果は、ピラティスが産後ママさんにとって「安全で効果的なリカバリー手段」であることを示しています。
無理をせず、自分のペースで、そしてできれば専門家と共に。
産後の身体と心を整える一歩として、ピラティスを生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。
通学コース
オンライン講座
協会について
日本統合医学協会は、東京と大阪に拠点を持ち、日本における健全な統合医学の普及と発展を目的として、平成12年に設立されました。メディカルアロマ、メディカルハーブ、またメディカルヨガやメディカルピラティスといった幅広い分野で技能研修や資格・検定の認定制度確立。統合医学の正しい知識の普及と技能向上に努めています。長年の実績と信頼ある当協会の資格は、医療・福祉の現場をはじめ、自宅サロン開業など転職・就職・開業にも役立てることが可能。統合医学の現場で働く皆様の活躍を後押しします。また、プロの育成だけでなく、セルフメディケーションとしてのメディカルアロマやメディカルヨガの普及にも注力し、誰もが「センテナリアン」を実現できる社会を目指し活動しています。